筋力トレーニングでは意識の持ち方によって動きや効き方が変わる場面があります。今回は動作中の意識の持ち方について行われた研究をまとめて紹介します。
『意識の持ち方』
意識の持ち方が運動パフォーマンスに与える影響についてはたくさんの研究が行われています。トレーニングの挙上動作での意識の持ち方には大きく分けて2種類あります。
• 身体以外を意識する
バーベルや地面など自分の身体以外の部分に意識を向ける方法です。
• 身体を意識する
バーベルを動かす腕の筋肉や、踏ん張る脚の筋肉など自分の身体に意識を向ける方法です。
動作中に身体に意識を向けるのは、一般的に「効かせる」という言い方をされます。
『効かせるトレーニング』
筋トレをするときに「狙った筋肉に効かせる」という話がよく出てきます。
いろいろな場面で使われることがあるフレーズですが、特に筋肥大を目的としてトレーニングをする場合、特定の筋肉を鍛えるために、目的の筋肉を意識しながらウェイトを挙げるように勧められることが多いです。
こういう効かせるテクニックは、筋肥大を目的としたボディビルやフィジーク選手のトレーニングで重視されることが多いです。
AthleteBody.jpでは、ボディビル選手としてご活躍になっている岡田隆先生のゲスト投稿でもお考えを語っていただきました。
狙った筋肉に負荷を掛けられるのが「正しいフォームだ」と言われたり、「トレーニングがうまい」と言われたりします。大きな重量が挙がっても狙った筋肉を使えていなければ意味がないとまで言われることもあります。
コンテストに向けてトレーニングをしているかに関わらず、趣味でジムに通う人でもいろいろな効かせ方を試してみることは少なくないと思います。AthleteBody.jpのパーソナルコーチングでは、ベンチプレスで胸に効かせたい、ロウイングが広背筋に効かない、デッドリフトはどこに効いているのか分からないといったお悩みを聞くことがあります。
効かせるトレーニングが正しいのであれば、身体に意識を向ける方が良い結果が出るはずだと考えられますが、実際どうなのか?アイソレーション種目とコンパウンド種目に分けて、いくつか研究を紹介していきます。
『アイソレーション種目』
アイソレーション種目では、ひとつの筋肉や関節に動きが限定されるので、意識の持ち方も比較的シンプルです。
研究1:上腕二頭筋の筋活動
この研究では、マシンを使ったアームカールが行われました。腕の動きと筋肉に意識を向ける場合と、マシンのハンドルバーの動きに意識を向ける場合に分けられました。腕の筋肉の筋活動と、挙上動作でどれだけの力が出ていたかが測定され、意識の持ち方で違いが出るかが比べられました。
この研究では、マシンを使ったアームカールが行われました。腕の動きと筋肉に意識を向ける場合と、マシンのハンドルバーの動きに意識を向ける場合に分けられました。腕の筋肉の筋活動と、挙上動作でどれだけの力が出ていたかが測定され、意識の持ち方で違いが出るかが比べられました。
筋活動は腕の動きや筋肉に意識を向けた場合の方が強くなりました。これは筋肉で起きている電気活動が強かったということで、上腕二頭筋が強く働いていた表れと捉えることができます。
上腕二頭筋を大きくするという意味では筋活動が高い方が良く、挙上重量を伸ばすという意味では大きな力が出せる方が良いと考えられそうですが、これは1回のトレーニングで得られたデータだということに注意が必要です。筋肉が大きくなるのには時間が掛かるので、こういう意識の使い分けを長期間続けたときに実際に効果の違いが出るのかハッキリ答えを出すことはできません。
研究2 長期の筋肥大研究
この研究では、普段から筋力トレーニングをおこなっていない人を2グループに分け、バーベルカールとレッグエクステンションを使って8週間のトレーニングを行われました。片方のグループは対象の筋肉を引き締める意識を持つように指示され、もう一方のグループはウェイトをあげることを意識を向けるように指示されました。
筋肉を意識したグループの方が、バーベルを挙げる意識をもったグループより腕の筋肉の増え幅が大きくなりました。しかしレッグエクステンションを行った脚の筋肉にはグループ間で目立った違いは見られませんでした。
この結果は脚の筋肉を意識するのが慣れていないトレーニングを習慣化してない人が被験者のためだと考えられます。
『コンパウンド種目』
コンパウンド種目では、動きに関与する関節や筋肉が複数になるので、どの部位に意識を向けるかも選択肢が出てきます。
研究3:ベンチプレスの挙上重量と意識の持ち方
この研究では、ベンチプレスにおいて大胸筋を意識する場合と上腕三頭筋を意識する場合で筋活動に変化があるかが調べられました。さらに、同じ実験を1RMの50%と1RMの80%で行い、重量によって結果に違いが出るかも調べられました。
図4は特定の筋肉を意識しない場合、重量が変わることで筋活動がどう変化するかを示したグラフです
重量が1RMの50%から80%に上がったことで、大胸筋と上腕三頭筋の筋活動が大きく高まっています。
次に図5は、それぞれの重量で特定の筋肉を意識した場合に筋活動がどう変化するかを示しています。
• 特定の筋肉を意識する場合 軽い重量で行うアイソレーション種目については、狙った部位を意識して動作を行う場合があっても良いと思います。さらに、新しくコンパウンド種目を覚えたい場合にも有効な場面はあるかもしれません。例えば、デッドリフトでお尻の筋肉を使うために重量を落として意識してみる場合や、ラットプルダウンで広背筋を使うために意識してみるといった場合が考えられます。他には、身体のどこかに痛みがあるなどの理由で高重量を避けたい場合には、軽い重量で特定の筋肉を意識しながら動作を行うことで高重量を避けながらトレーニング効果を得ることもできるかもしれません。
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